セミナーの御案内

 
1. 自分の体を知ろう

フットラボですから、足と身体の関係から説明しましょう。ちょっとまじめに言うとこんな感じです。

【理論編】
足が身体全体の土台の役割を担うため、その少しの変化が、膝、股関節、骨盤、脊柱、肩など他の関節の動きや位置などに影響を及ぼします。実際に歩行時、足の動きや体重のかけ方などに異常が生じると、膝、股関節、骨盤などにも異常が起こることが少なくありません。

また、膝、股関節、腰などに障害を持っている人に扁平足や外反母趾などの足部異常も認められることが多いのも、このように足と身体全体が相互に関連し合っているからなのです。

身体と足が関連している事は次のようにして体感してみてください。右足を1歩前に出します。体重を足の内側にかけて行くと、膝が内側に向き、さらにかけるとヘソが左を向き、ひざの内側が伸ばされます。そして、土踏まずが潰れていきます。

 (図1)

人の体は似ていますがそれぞれ違います。ある範囲(骨の数など)で共通なのですがそれぞれ個性があります。また、親子で骨格が似ていると足の変形も似ている場合が多く見受けられるようです。

足の長さ、一番長いゆび、外内の踝の高さ、小ゆびの爪、たこの出来る場所、家族の誰と足の形が似ているか、その家族に外反母趾や膝の故障の有無などよく身近なところから観察して見てください。

そこでテーマは足です。
 

2. 足のしくみ
足はデリケートで強靱で複雑です。たったあれだけの面積で体全体を支え、コントロールしているのですから・・。

【理論編】
二足直立歩行をする人間にとって、足は唯一地面に接する部位であるため、その働きは身体全体に大きな影響を与えています。足には両方で56個の骨がありますが、身体全体の骨は206個ですから、なんと全体の1/4の骨が足に集中していて、大変複雑な動きをします。

 足には様々に重要な機能がありますが、その主なものとしては以下の3つが挙げられます。

1. しっかりとした支持面(土台)を形成する。
2. 衝撃を吸収する。
3. 歩くとき、蹴り出す際のテコとなる。

これらの機能を果たすために、足には3つのアーチ(図2)があります。内側アーチとはいわゆる「土踏まず」と呼ばれるものです。アーチが潰れた足を「扁平足」と言い、逆にアーチが過剰に高い足を「凹足」と言います。

通常、歩行時の足は、踵から地面に接し、次に足全体で体重を支え、そしてつま先で蹴り出すというように運動します。蹴り出した足は、いったん地面を離れ、前に踏み出され、また踵から地面に接します(図3)。
これを繰り返すことで、人間は二本の脚で歩くことができるわけです。

この繰り返しのサイクルの中で、足は「衝撃吸収」と「蹴り出し時のテコ」という相反する役割を果たしています。地面に足が"ドン"と接地するもっとも衝撃が大きい時期に、足のアーチはスプリングのような役割をします。足全体を内側に沈み込ませることで、この時期の衝撃を吸収します。こうして、膝や腰などに伝わる衝撃を緩和しているのです。

また、足の剛性が必要とされる蹴り出しの時期には、アーチを巻き上げ足全体を硬い構造にし、テコとして機能するようになります。

 興味深いことに、人間は毎日無意識のうちに、こうした複雑な足の運動を行っています。しかし、ひとたびこのサイクルに異常が生じると、足は歩行時の適正な役割を果たすことができなくなり、それが様々な障害につながることもあるのです。

(図2) (図3)
 

構造的には手に似ています。
 

3. 道具としての靴

【理論編】
人間はかかと、親ゆびと小ゆびのそれぞれの付け根の3点で体重を支え立っています。歩く時はかかとから着地し、足の外側をつき、そして親ゆびで蹴り出すという形で歩きます。足にかかる体重の移動をみるとよくわかります。

 (図4)

しかし、靴が合っていないと、重心がゆびの方にかかりすぎたりして、姿勢をゆがめます。また、ゆびが締め付けられていると、蹴り出しが出来なくなり、正しい歩き方が出来なくなります。すると、足に不自然な力が加わることになりますから、足がゆがむ。つまり、身体の土台である足が傾くということになります。
そして、この傾きを補うために膝、腰が傾きます。傾きは膝の関節などに余計な負担を強います。結果、膝や腰が痛くなる。このようにして合わない靴は全身に悪影響を及ぼしていくのです。

合っていない靴には様々な理由があります。
まずサイズです。・・・・・
「○○センチ」と自分で思っているのは、単なる思いこみかもしれません。ある靴の小売店がそんな自称サイズと、実際に足を計って判定したサイズとの違いを調べたところ、7割の人が自称サイズと実際のサイズが違っていたそうです。

足を計ってもらい(自分のサイズは一度自分ではかってみてください!)、本当のサイズと、あなたの足の「型」を確かめてください。足の「型」とは、甲が薄くて細長い足、甲が高くて幅もある足、といったことです。

ご承知のように靴はメーカーやデザインなどによって、実際の大きさは異なります。正しいサイズを知り、そのサイズを目安に、自分の足の型に合ったいくつか選び、それを履き比べてみる。これが、痛くない靴選びの早道です。思いこみのサイズの靴にちょっと足を入れただけで、靴を選んでいると、どんな靴を履いても足が痛い、ということになってしまいます。

 それでもなお、どんな靴でも足が痛いとしたら、歩き方に問題があるのかもしれません。正しい歩き方をしていないと、足に余計な負担がかかり、ゆびやかかとが痛くなったりします。この場合は、サイズの合った靴に変えても効果はなし。歩き方を正しく変えるしかありません。そんなとき、インソールでの調整は効果的な方法です。

そして、大事なのが靴の機能的な構造です。履いた感じが気持ちよければいいと、柔らかい素材で作っただけのような靴は、健康にいいとは言えません。

靴の基本的な役割である足を支えるという機能を備え、足の自然な形を圧迫しないといった条件を備えていなければならないでしょう。そういう靴は足に余計な負担をかけず、真っ直ぐ立ち、正しく歩くことができます。それがひいては、膝や腰への負担をなくし、全身を健康に保つということは言えます。

ただし、足に合わなければ、どんなよい靴も悪い靴になってしまう可能性があります。買うときに足を入れてみるだけではなく、必ず硬い床の上で少なくとも10メートルぐらい歩いてみて下さい。本当に足に合っているか自分で確認することが大切です。
 

【実践編】
機能的には、踵の周りカウンター、内側のアーチの支えカウンター、指の付け根の曲り具合、シャンク(足の比較的後ろの部分の支え)の作りがしっかりしていればまずまずといったところでしょう。
具体的には次のようなポイントです。


 
 
 

4. 靴をチューンナップ
いよいよ待ってました。マイシューズの改造方法です。インソールを作ってもらうと1万円から6万円ぐらいします。それをスケルトン(1,500円)でやってしまいましょう。

またちょっと小難しいことをならべますとこんな感じです。

【理論編】
インソールを使って足の動きや姿勢を変化させると、足の障害を予防したり、痛みを緩和したり、身体の効率的な動きを作り出したりすることができます。以下にインソールの具体的な役割を上げてみます。

1. 靴を補正する
靴の悪いところを補います。たとえば、踵まわりや土踏まずの部分が柔らかい靴、靴底の曲がり具合がおかしい靴などを補正することができます。

2. 足の機能を補助する
人はそれぞれに足の形や歩き方などが違い、時には足の形は左右でも違いがあります。しかし、足の基本的な機能には共通点があります。人間の歩行運動を解析し、足の基本的な機能を考えて作られたインソールは、快適なフィット感を生み出し、歩きやすく疲労感の少ない歩行を可能にします。

3. 運動を身体の各部分に正確に伝える
身体の土台となる足は、その僅かな変化が、膝・股関節・腰・背骨・肩・頭の位置まで変化させます。たとえば、立った状態で膝を外に向けてください。すると足はどうでしょう。小ゆびに体重がかかり、内側の土踏まずが持ち上がってきます。逆に膝を内に向けると、親ゆび側に体重がかかり、内側の土踏まずが下がってきます(図1)。
 このように人間の身体運動は、一定の法則性をもって、それぞれの関節が連動して作られます。したがって、インソールによって、膝が外を向いているものを内に、また内に向いているものを外に向かせるというように、関節の位置を変化させることが可能となります。

4. 姿勢を制御する
 人は、足という小さい支持面で全体重を支えているわけですから、他の動物と比べると本来非常にバランスの悪い動物です。したがって、バランスを保つために、姿勢を様々な形に変化させて対応しています。たとえば、つま先が下がった傾斜地に立った場合、前に倒れないように、腰を後ろに引き、あごを上げます。
 このようなことからも、インソールを使って足の面を変えることで姿勢も改善させられるということが分かります。

スケルトンは既製品ですから最初にお話しましたように人の体に共通した部分の運動はかなりきれいに作れます。ちょっと凝ると、個々の骨の構造に応じた位置決めでもう少し個性を出すことができます。

【実践編】
一度次のようなやり方で場所をあわせてみてください。数万円のインソールにかなうものが作れます。
 


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